若手研究者のための有機合成ラボガイド
- タイトル読み
- ワカテケンキュウシャノタメノユウキゴウセイラボガイド
- 著者ほか
- 山岸敬道/山口素夫/佐藤潔・著
- 著者ほか読み
- ヤマギシタカミチ/ヤマグチモトオ/サトウキヨシ
- 発行
- 2010/03/01
- サイズ
- A5判
- ページ数
- 382
- ISBN
- 978-4-06-154323-2
- 定価
- 4,620円(税込)
- 在庫
- 在庫あり
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内容紹介
研究室で,企業の第一線で
初めて実験をまかされたとき役だつ
合成ラボガイド!!
官能基合成,分子骨格構築,人名反応から
超分子,触媒的不斉合成まで
話題の化合物も含めた
合成方法,実験条件が簡潔にわかる
"これから複雑な有機合成実験を始めようとする学部や修士課程の学生の人たちは,新しい反応を行うあるいは化合物の合成を行うとすれば,反応試薬の組み合わせや反応条件を自分で決めなければならず,そのためには関連した文献をたくさん参考にしながら実験条件を決めることになるであろう.自分自身のことを振り返ってみると実験条件を決めるのに英語の論文はともかく,ドイツ語やロシア語の文献を辞書と格闘しながら読んだという苦労を思い出す.
編集部から若い研究者の人たちが研究に必要な化合物を合成しようとするとき,あるいは新しい反応を始めようとするときに参考にできる,試薬や反応条件,実験手順あるいは実験に際しての注意事項などが簡潔に記載された本,いわば Organic Syntheses をきわめてコンパクトにしたような本を書いてみないかという話をいただいた.そのような本のためには多くの文献の調査と取捨選択が必要でたいへんだなと思ったもののお引き受けすることにした.だいぶ時間がかかってしまったが,共同研究者(山口素夫,佐藤潔)の協力のもとで今回本書の形でまとめることができたことを喜んでいる.
限られたページの中では数多くの合成反応を網羅することはできないので,代表的な官能基の導入や合成の実験例,特異な構造を持つ化合物の合成例などをまとめることにした.220 ほどの合成反応例を示してあるが,代表的な反応条件を提示したものと受け取っていただきたい.反応条件の適用範囲について判断をしてもらうために一つの反応についてできるだけ複数の実験例を示すようには心がけた.またノートの項を設けて実験の内容の補足説明や実験に際して注意すべき事項など記載した.実験に際して溶媒も大きな問題であり,特に脱水溶媒を使うことが必要な場合が多いから,よく使われる溶媒の精製法も紹介した.
本書の利用に際しては,反応の種類や試薬の組み合わせについては化合物の種類ごとにまとめた目次を参照に探していただき,最終生成物については索引を参照していただくことを考えている.また実験条件を紹介した論文や関連論文を文献として記載してあるので,より詳しく知りたい場合の参考にしていただきたい.(本書序文より)"
目次
第1部 有機合成ラボガイド
1 本書の目的
2 実験に際して留意すべきこと
2.1 反応試薬,溶媒の性質の調査と準備
2.2 反応試薬の選択
2.3 実験条件の設定と実施
A. 合成スケールの設定
B. 実験装置の組み立てと反応試薬・溶液のしこみ
C. 実験の記録作成
D. 後処理と生成物の単離・精製
E. 生成物の構造確認
F. 実験廃棄物の処理
3 溶媒の精製法
3.1 炭化水素類
3.2 アルコール類
3.3 エーテル類
3.4 ケトン類
3.5 エステル
3.6 カルボン酸
3.7 ハロゲン化物
3.8 極性溶媒(非プロトン性)
第2部 実験例
A アルカン誘導体
B アルケン誘導体
C アルキン誘導体
D アルコールおよびフェノール誘導体
E ハロゲン化アルキルおよびハロゲン化アリール誘導体
F エーテル類
G アルデヒドおよびケトン誘導体
H カルボン酸およびカルボン酸誘導体
I アミン,イミン誘導体
J 硫黄化合物
K 等価体,試薬
L 官能基保護
M 炭素―炭素結合形成
N 環形成
O 転位,シグマトロピー
P 芳香族化合物
Q ヘテロ芳香族化合物
R 触媒的不斉合成