絵でわかる生態系のしくみ

著者・編者
発行
サイズ
A5判
ページ数
173
ISBN
978-4-06-154758-2
シリーズ
絵でわかるシリーズ
価格
2,200 (税込)
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絵でわかる生態系のしくみ

内容紹介

◆保全生態学の第一人者が説く「自然保護への第一歩!」
◆生態系をよく知り、守り、よみがえらせる!

生態系を知る・守る・再生するための入門書。生態系のしくみの基本から、健全な生態系を保全・再生する実際の活動までを、さまざまな実例とともに、多くのイラストを用いて初心者にもわかりやすく解説する。

【〈はじめに〉より】
 この本のテーマは,生態系です.
「生態系」は,日常会話で普通に使われる言葉とはいえませんが,「化学物質の生態系への影響」,「温暖化が生態系に及ぼす影響」などというように,環境問題が話題になるときにはよく使われます.
 みなさんは,生態系という言葉で,何をイメージするでしょうか.漠然と,何種類もの生物の集まりを思い浮かべるかもしれません.草木が生え,水が流れる風景を思い出す方もいるでしょうか.草をウサギが食べ,そのウサギをオオカミが食べるといった,食べる-食べられるの関係でつながった連鎖のようなものを思い起こすでしょうか.あるいは,私たち人間を取り巻く多様な自然物からなる環境が思い浮かぶでしょうか.
 そのイメージのどれもが,生態学の用語としての生態系のある側面を直接,あるいは間接的に表しています.生態系という言葉は,環境の問題と結びついて使われることが多いため,あまりよいイメージをもっていない方が多いかもしれません.
 生態系という日本語は,エコシステムという英語を翻訳したものです.現代の生態学にはなくてはならない科学の用語でもあります.エコシステムのシステムとは,要素とそれらの間の関係を含む全体を表す言葉です.生態系は,多様な生物とその環境の要素からなるシステムです.それは,複雑で,ダイナミックで,ある意味ではとらえどころのないものです.けれども,そのありさまや働きをしっかりと把握することは,現在,私たちが直面しているさまざまな環境の問題を適切に解決するためにも,サステナビリティ(持続可能性)を確保するためにも,欠かせないことです.
 生態系の科学的な理解をめざしている生態学では,さまざまな切り口で生態系をとらえようとしています.この本では,そんな生態学の営みで見えてくる生態系のさまざまな側面,つまり,その構成,動態,機能,しくみなどをイラストと平易な文章で紹介することを試みました.
 案内役は,水陸両用の身近な生き物のカエルです.くりくりしたあの大きな丸い目を借りて,生態系のいろいろな側面を探ってみましょう.
鷲谷いづみ