絶対わかる有機金属化学

齋藤勝裕・著
シリーズ:
絶対わかる化学シリーズ

絶対わかる有機金属化学

発行
2011/02/10
サイズ
A5判
ページ数
190
ISBN
978-4-06-155067-4
定価
3,080円(税込)
在庫
書籍在庫無し

電子書籍

※価格は紙の本と異なります。また、書店によって価格が異なる場合もあります。※配信開始日は各書店により異なります。書店によっては取り扱いのない作品もございます。あらかじめご了承ください。
電子書籍版を見る

内容紹介

ノーベル賞を受けたクロスカップリングも有機金属の反応.話題に富む有機金属を,結合から反応,触媒機構まで,簡潔に,まんべんなく,しっかり解説.有機金属化学の世界地図を示す.

"本書は,このような有機金属化学の基礎から最近の成果までを幅広く,理解しやすく紹介しようというものである.本書の構成は 4 部 12 章からなる.
 第1部は「結合と構造」である.第 1 章で有機金属化合物を作る「原子構造」を解説した後,第 2 章で「金属原子の種類と構造」を解説し,さらに第 3 章で「金属原子の結合」について解説するものであり,有機金属化学の基礎を固めるものである.
 第2部は「典型金属化合物」であり,金属元素のうち,典型金属元素の物性と反応性を明らかにするものである.第 4 章「金属原子の性質と反応性」で金属一般の物性を明らかにした後,第 5 章で「典型金属化合物の代表的反応」を学んで有機金属化合物の反応のアウトラインをつかむ.その後,第 6 章「典型金属化合物とその反応」で,典型金属化合物を用いた有機金属化合物の各論を見ることにする.
 第3部は「遷移金属化合物」であり,遷移金属の物性と反応性を見ることにする.遷移金属の特徴は d 軌道を持っていることであり,それが有機金属化合物の物性,反応性に影響を及ぼすが,d 軌道の影響が最も顕著に出るのは錯体の物性と反応性である.そこで,第 7 章「遷移金属錯体の構造と結合」,第 8 章「遷移金属錯体の反応」でこれらのことを学ぶことにする.次いで第 9 章「有機遷移金属化合物の結合」で遷移金属と有機物の結合を解析し,第 10 章「有機遷移金属化合物の反応」でその反応性を明らかにする.
 第4部は「触媒反応」である.高分子合成のチーグラー・ナッタ触媒,あるいはメタロセンを用いたカミンスキー触媒まで,遷移金属の触媒効果は目を見張るものがある.グリーンケミストリーの目標にも触媒反応の開発と応用があげられていることからもうかがわれるとおり,触媒反応は今後ますます盛んになるであろう.そこで第 11 章「触媒反応の機構」で触媒反応の反応機構,反応速度論を学び,第 12 章「触媒反応の実際」でいろいろな触媒反応を見ることにする.(本書序文より)"

目次

第1部 結合と構造
1 章 原子構造
 1 有機金属化学とは
 2 原子の電子構造
 3 d 軌道・f 軌道
 4 電子配置
 5 周期表
 6 典型元素と遷移元素
2 章 金属原子の種類と構造
 1 金属元素と非金属元素
 2 典型金属
 3 遷移金属
 4 遷移元素の電子的性質
 5 d ブロック遷移元素と f ブロック遷移元素
3 章 金属原子の結合
 1 金属結合
 2 金属の状態
 3 イオン結合
 4 共有結合
 5 σ結合,π結合
 6 d 軌道の関与する結合
 7 sp3 混成軌道
 8 sp2,sp 混成軌道
 9 配位結合
 10 結合のイオン性
 コラム:レアメタル(希少金属)

第2部 典型金属化合物
4 章 金属原子の性質と反応性
 1 イオン化
 2 電気陰性度
 3 イオン化のエネルギー
 4 酸化・還元
 5 酸化剤・還元剤
 6 酸・塩基
 7 酸性酸化物と塩基性酸化物
5 章 典型金属化合物の代表的反応
 1 典型金属と有機物の結合
 2 三中心二電子結合とメタロセンの結合
 3 グリニャール反応
 4 グリニャール反応の種類
 5 有機リチウム化合物の反応
 6 酸化・還元反応
 7 カルボニル化反応
6 章 典型金属化合物とその反応
 1 1 族有機金属化合物の反応
 2 2 族有機金属化合物の反応
 3 有機亜鉛化合物の反応
 4 有機水銀化合物の反応
 5 有機ホウ素化合物の反応
 6 有機アルミニウム化合物の反応
 7 有機ケイ素化合物の反応
 8 有機スズ・有機鉛化合物の反応
 コラム:グリニャール反応装置

第3部 遷移金属化合物
7 章 遷移金属錯体の構造と結合
 1 遷移金属錯体の構造
 2 内軌道型と外軌道型
 3 結晶場理論
 4 結晶場安定化エネルギー
 5 分光化学系列
 6 結晶場理論と磁性
 7 錯体の色彩と電子構造
 8 電荷移動遷移
 9 分子軌道理論
8 章 遷移金属錯体の反応
 1 HSAB 理論
 2 錯体の生成と安定性
 3 配位子交換反応
 4 反応機構と錯体構造,反応速度
 5 トランス効果
 6 異性化反応
 7 電子移動反応
 8 生体内金属化合物
 9 へモグロビンと鉄錯体
 10 光合成とマグネシウム錯体
9 章 有機遷移金属化合物の結合
 1 結合性軌道と反結合性軌道
 2 遷移金属と C=C 結合
 3 遷移金属と C=O 結合
 4 遷移金属と N≡N 結合
 5 η2-二水素錯体
 6 カルベン錯体
10 章 有機遷移金属化合物の反応
 1 カルベン錯体の反応
 2 酸化的付加反応と還元的脱離反応
 3 酸化的環化反応と還元的開裂反応
 4 挿入反応と逆挿入反応
 5 メタセシス
 6 クロスカップリング
 7 不斉合成
 コラム:色彩と光エネルギー

第4部 触媒反応
11 章 触媒反応の機構
 1 遷移状態と活性化エネルギー
 2 活性化エネルギーと触媒
 3 均一系触媒と不均一系触媒
 4 不均一系:吸着と脱着
 5 接触還元反応
 6 固体触媒反応機構
 7 金属触媒の可能性
12 章 触媒反応の実際
 1 水素化反応
 2 酸化反応
 3 ヒドロシリル化反応
 4 ヒドロホルミル化反応
 5 オレフィンの重合反応
索 引