食品安全・衛生学実験
- タイトル読み
- ショクヒンアンゼン・エイセイガクジッケン
- 著者ほか
- 岡崎眞/大澤朗/川添禎浩・編
- 著者ほか読み
- オカザキシン/オオサワロウ/カワゾエサダヒロ
- シリーズ:
- 栄養科学シリーズNEXTシリーズ
- 発行
- 2010/04/20
- サイズ
- A4判
- ページ数
- 151
- ISBN
- 978-4-06-155347-7
- 定価
- 2,860円(税込)
- 在庫
- 在庫なし
内容紹介
【中央で押し広げ,くるっとまわす.片手で持てて実験台の上で邪魔にならない画期的な仕様!】
いまこの実験書をこうして手にとってごらんになっている読者は,この本を目にとめたときからその装丁が他のNEXTシリーズの,というよりも他のどの教科書とも異なることに興味をもたれたことと思います.これは,とにかく実験室で実際に使いやすい本とするためにはどうしたらよいかという話し合いの中で,実際に試験管に試薬を分注している際の,その実験台の上に,安定してひろげて置くことができるような装丁がのぞましい,という企画会議での提案からうまれたものです.しかしこの実験書は外見だけではなくその内容についても,学生実験の教科書として用いられることを主な目的としつつ,たとえば集団給食の現場にいる管理栄養士が,厚生労働省の大量調理施設衛生管理マニュアルにしたがった使用水の検査あるいは食品の中心温度の検出などをしようとするときに,一般の公定法便覧などには書かれていない具体的な作業の手順や注意事項などについて詳細にふれて,日常の調理現場における実用書としても利用できるように配慮されています.
また食品衛生管理者や監視員としての実務上必要が生じた場合には,現場の製造機械の横に立って行わなければならない作業のためのマニュアルとして利用することもできます.
この実験書はそのような利用を目的として,実際に学生実験を担当し教育している方々や,日常の業務としてそれぞれの実験を行っている方々に著者になっていただきました.そのような意味で,この本はひろく食品に関係する領域の学生実験の教科書としてのみならず,食品にかかわるありとあらゆる分野の方々が新たに実験を始めようとするときの実務マニュアルとして十分利用できるものになったと自負しています.
実験はその基礎となる科学的根拠をよく理解していないと円滑に進みません.この実験書ではほかの実験書よりもはるかに多くの部分をその実験の基礎となる理論的知識の解説に割くことを心懸けましたがそれにも限度がありますので,該当する内容の理論書を読まれることを強くお勧めします.しかし,一方で実験の本当の難しさは教科書には書けない「こつ」が存在することにあります.何でもないような試薬類の混合でさえも,容器に入れていく順序が意外なネックとなることがあります.この実験書では遺伝子技術も含めた最新の実験手技を解説する一方で,劉(りゅう)の反応のように現場の実験者の間でずいぶん昔から語り継がれてきた「こつ」にふれた部分も数多くあります.いずれにしてもできるだけ具体的な作業の手順を明記し,その理論的根拠も解説しました.
実験は技術ですので,中和滴定のような単純にみえる作業でさえも,とにかく回数をこなすことによって,本当の意味での「こつ」を習得することができます.
この実験書が円滑な実験を進めるための一助となって,みなさまのお役に立てることを編者一同願ってやみません.(まえがきより)
【シリーズ総編集】中坊幸弘/山本茂
【実験・実習編担当委員】岡崎眞/片井加奈子/加藤秀夫/桑波田雅士
【執筆者一覧】有薗幸司/磯部順子/伊藤貴美子/大澤朗/太田千穂/岡崎眞/小原智未/河合高生/川添禎浩/北田善三/古賀信幸/勢戸和子/田口真澄/橋本香織/船越久司/宮原美知子/吉田香
目次
0.実験にあたって
微生物編
1.微生物実験を行うにあたって
1.1 法令に基づいた実験
1.2 実験を安全に実施するために
1.3 実験を実施するために必要な装置,器具,機材など
2.微生物学的手法
2.1 洗浄,消毒,滅菌,無菌操作
2.2 手指および器具の洗浄と消毒,滅菌
2.3 オートクレーブの使用法
2.4 食品の中心温度の測定法
2.5 培地作製
2.6 参考菌株の選択平板培地画線塗抹
2.7 グラム染色と顕微鏡による細菌の観察
2.8 微生物実験における基本操作習得のための実験
3.洗浄前後の手,まな板の生菌数測定
3.1 手,まな板などの洗浄法
3.2 手,まな板などの生菌数測定法
4.食品中の細菌数(生菌数)測定法
5.食品中の大腸菌群数試験法
5.1 大腸菌群検査法
5.2 糞便系大腸菌群および大腸菌(E.coli)検査法
6.魚介類の腸炎ビブリオ生菌数測定法
7.食品検体からの下痢原性大腸菌の分離・同定
8.食品検体からのサルモネラ属菌の分離・同定
9.食品検体からのカンピロバクター属菌の分離・同定
10.食品検体からの黄色ブドウ球菌の分離・同定
11.食品検体からのセレウス菌の分離・同定
12.食品検体からのウエルシュ菌の分離・同定
化学物質編
13.化学物質を取り扱う実験にあたって
13.1 法令に基づいた実験
13.2 実験を安全に実施するために
14.科学的分析手法
14.1 吸光分析
14.2 クロマトグラフィー
14.3 高速液体クロマトグラフィー
14.4 ガスクロマトグラフィー
14.5 ガスクロマトグラフィー/質量分析法,高速液体クロマトグラフィー/質量分析法
14.6 水蒸気蒸留
15.植物中の有害成分の検出
15.1 シアン(青酸)化合物の検出
15.2 野菜中の硝酸塩の簡易定量
16.食品成分の変質試験
16.1 腐敗性アミン類
16.2 油脂の変敗
17.食品添加物の分析
17.1 食品中の着色料の定性
17.2 食品中の亜硫酸の定量
17.3 食品中のソルビン酸の定量
17.4 食品中のBHAの定性
17.5 食品中の亜硝酸塩の定量
17.6 食品中の過酸化水素の検出
18.食品汚染物質の分析
18.1 鉛の検出
18.2 ホルムアルデヒドの検出
19.食器洗浄の検査
19.1 デンプン性,タンパク質性,脂肪性残留物の検査
19.2 合成洗剤の残留検査
20.水質検査
20.1 遊離残留塩素濃度の測定
20.2 水の温度,外観,臭気,味,pH
20.3 アンモニア性窒素,亜硝酸性窒素,硝酸性窒素の測定
20.4 過マンガン酸カリウム消費量の測定
20.5 陰イオン界面活性剤の測定
21.食品の毒性学に関する実験
21.1 エイムステストによる変異原性のスクリーニング
21.2 保存料(安息香酸)の生体内変化
21.3 着色料(食用黄色4号)の生体内変化
付表 食品添加物の使用基準
索引