栄養科学の歴史
- タイトル読み
- エイヨウカガクノレキシ
- 著者ほか
- 安本教傳/辻英明/中坊幸弘・著
- 著者ほか読み
- ヤスモトキョウデン/ツジヒデアキ/ナカボウユキヒロ
- シリーズ:
- 栄養科学シリーズNEXTシリーズ
- 発行
- 2013/09/30
- サイズ
- B5判
- ページ数
- 143
- ISBN
- 978-4-06-155356-9
- 定価
- 2,420円(税込)
- 在庫
- 在庫なし
内容紹介
国内外における栄養科学の歴史を、周辺の科学・技術の発展とともに俯瞰し、現代における成果へとつなぐ。その栄養科学の実践としての管理栄養士・栄養士の歴史にも言及する。
養成校での導入教育に最適。
「栄養科学シリーズNEXT」は,専門基礎科目および専門科目からなる,管理栄養士および栄養士の教育に利用されてきた教科書シリーズである.2002 年に栄養士法の改正が行われ,質のより高い管理栄養士・栄養士の養成が求められた.その要請に応えるためには,栄養学を支える基礎学問の修得が必要であるとして,本シリーズに基礎科目の追加を企画した.管理栄養士・栄養士は現代栄養学の成立ちを理解し,自らの立ち位置を知ることにより,今後の栄養学の実践に生かされると考え,基礎科目の一つとして「栄養科学の歴史」を刊行することにした.
食物を摂取し,自らの健康の維持・増進を図るという栄養現象については,古代ギリシャより多くの人たちが関心を示し,その現象を思惟により理解しようとしてきた.しかし,物質の仕組みが解明されていない時代では,それを理解することは不可能であった.18 世紀後半にはじまった化学革命により,物質は原子および分子からなることが解明され,食物中の健康の維持・増進に必要な成分として栄養成分が認識されるようになり,近代栄養科学が成立した.さらに,20世紀初頭には新栄養成分としてビタミンが発見され,栄養学における輝かしい新分野が拓かれた.さらに,生化学および生理学の発展により,栄養現象の本質が科学的に解明され,その結果,ヒトの健康の維持・増進を推進する基盤となる食品成分表の作成および食事摂取基準の策定が行われるようになった.
本書は6 編から構成され,第1 ~ 5 編では,栄養科学の発展の歴史を概説し,第6 編において,発展した栄養科学の成果を実践するシステムとして,特にわが国における管理栄養士・栄養士制度の発展を概観した.
このように管理栄養士・栄養士を対象にして栄養科学史をまとめたものはあまりなく,本書は管理栄養士・栄養士をはじめコメディカル・スタッフの養成施設で教科書として利用されることが期待される.(まえがきより)
【シリーズ総編集】中坊幸弘/山本茂
【基礎科目担当委員】木戸康博/高橋吉孝/辻英明
目次
第1編 栄養科学史の概要
0.物質観の移り変わり
0.1 地球上の万物の根源としての「元素」
0.2 四元素説と四体液説の体系
0.3 中世の錬金術師における元素
0.4 陰陽五行説の体系
0.5 近代科学としての物質観の確立
0.6 分析化学の進歩がもたらした20 世紀の知見
1.栄養科学の発展の概要
1.1 古代ギリシャ,古代ローマの食養生思想
1.2 古代中国での食養生の思想
1.3 栄養科学が低迷した中世
1.4 ルネッサンス,バロックの近世における解剖学と栄養科学
1.5 化学革命による近代栄養科学の成立
1.6 現代栄養科学の基礎づくりと新たな発見
1.7 分析化学の進歩に伴う食品成分の分析
1.8 何をどれだけ摂取すればよいかの基準
1.9 栄養科学の研究成果を実践する管理栄養士・栄養士
第2編 栄養思想の時代:古代ギリシャから近世
2.古代ギリシャ,古代ローマ時代における栄養科学:思想の時代
2.1 古代ギリシャにおける栄養科学
2.2 古代ローマにおける栄養科学
3.中世からルネッサンス時代における栄養科学
3.1 中世ヨーロッパにおける栄養科学
3.2 ルネッサンス時代における栄養科学
4.バロック時代の栄養科学
4.1 正確な計量・計測法を用いて実証する時代
5.近世の栄養科学:機械論的栄養科学
5.1 機械論的に展開するサンクトリオ,ハーヴェー
5.2 機械論を推し進めるデカルトとボレリ
5.3 生理的過程の機械的説明を示すブールハ・フェとフォン・ハラー
第3編 近代栄養科学の時代:化学革命から20 世紀初頭まで
6.18 世紀の栄養科学:燃焼現象の解明と化学革命
6.1 燃焼という現象への興味
6.2 ラヴォアジエの貢献と化学革命
7.19 世紀前半における栄養科学:栄養素の分析・分類
7.1 栄養素の分析・分類
7.2 ミューラーの生理学的手法
7.3 リービッヒの化学的手法
7.4 シュミットとビッダーによる融合
8.19 世紀後半における栄養科学:生理学の発展
8.1 フォイトとペッテンコーファーの呼吸室
8.2 ルブナー,ルノーおよびレイセー
8.3 生理学全領域に貢献したベルナール
8.4 ホプキンスとシェーンハイマー
第4編 20 世紀におけるビタミンという新しい栄養素の発見
9.ビタミン学説を唱えた先駆者
9.1 脚気からビタミンB1 発見ヘの道のり
9.2 オリザニン(ビタミンB1)の発見:鈴木梅太郎
9.3 ビタミンB1 の発見:フンク
9.4 ビタミン概念の提唱
第5編 栄養科学の成果としての食品成分表と食事摂取基準
10.食品に含まれる栄養成分:分析化学の発展と食品成分表の成立
10.1 分析化学の進歩
10.2 日本の食品成分表の変遷
11.何をどれだけ食べればよいか:食事摂取基準の成立
11.1 各国の事情と摂取基準策定のはじまり
11.2 日本における摂取基準
第6編 栄養科学の実践
12.栄養士誕生からこれまで
12.1 明治末期から大正時代:栄養研究所開設と栄養学校誕生
12.2 昭和の時代:昭和初期から終戦後「栄養士法」制定
12.3 昭和の時代:戦後復興期から管理栄養士誕生
12.4 昭和から平成時代:平均寿命世界一の時代
12.5 栄養科学の研究と実践