公衆衛生学 第3版
- タイトル読み
- コウシュウエイセイガクダイサンパン
- 著者ほか
- 村松宰/中山健夫・編
- 著者ほか読み
- ムラマツツカサ/ナカヤマタケオ
- シリーズ:
- 栄養科学シリーズNEXTシリーズ
- 発行
- 2011/05/20
- サイズ
- B5
- ページ数
- 208
- ISBN
- 978-4-06-155365-1
- 定価
- 2,860円(税込)
- 在庫
- 在庫あり
書籍を購入する
内容紹介
2005 年に第2 版が刊行されてから6 年になろうとしている.この間,わが国は他国に類をみない加速度で高齢化社会が進展し「超高齢社会」が到来して,長生きするだけではなく,どのようにして「生きがいを持って健やかに老いる」かが問われる時代を迎えている.こうした超高齢社会を見据えて2001 年に発足した健康日本21 の継続,2008 年度に創設された後期高齢者制度の廃止と新制度の創設,診療報酬の改定など新しい動きが見られるとともに,新型インフルエンザ予防接種特別法,肝炎対策基本法,臓器移植の改正など社会的な要請に応えた形で法改正が行われている.また,最近では口蹄疫問題,世界的な新型インフルエンザの大流行,そして直近の東日本大震災による大津波と原子力発電所事故などで私たちは様々な健康危機に脅かされている.このような多様な社会・環境と健康問題を科学的な視点で理解し新しい動向を的確に捉えた最新の情報を提供するのが「公衆衛生学-社会・環境と健康」の教科書の使命と考え改版に至った.
また,管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)が改定された時期とも重なったことより,それに対応できるよう大,中項目は勿論のこと小項目も採用,網羅した.国家試験出題基準で求められている水準を考慮し,準拠する方針で編集されているが基準にない項目でも公衆衛生の最新トピックスや,公衆衛生に関連する主要な法令の改正・制定に伴う内容の改訂,インフルエンザ,SARS,HIV,ノロウイルスなどの新興・再興感染症,疫学の方法論や主要疾患の疫学と予防などの領域については詳述した.
本書は先に発刊された初版および第2 版を受け継いで保健師,看護師,臨床検査技師などの医療技術者養成施設,そして介護福祉養成施設などの教科書としても十分耐えられる内容を盛り込んでいるのは変わらないと自負している.(まえがきより)
【シリーズ総編集】中坊幸弘/山本茂
【シリーズ編集委員】海老原清/加藤秀夫/河田光博/木戸康博/小松龍史/武田英二/辻英明
【執筆者一覧】板井一好/上田成子/大野秀樹/大和田浩子/梶本雅俊/小橋元/齋藤健/佐藤郁雄/玉城英彦/千葉逸朗/豊川智之/中山健夫/長谷川伸作/廣田孝子/堀江正知/松木悠紀雄/武藤志真子/村松宰/安井良則
目次
1. 社会と健康─公衆衛生学概論
1.1 公衆衛生の概念
1.2 健康の概念
A. 健康の定義
B. 健康の目的とwell-being
C. 予防医学の段階
D. プライマリ・ヘルスケア
E. ヘルスプロモーション
F. 目標指向型健康増進施策
G. 21 世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)
1.3 公衆衛生の歴史
2. 保健統計
2.1 人口静態統計
A. 国勢調査(センサス)
B. 人口の推移
C. 日本の人口構造
D. 人口静態統計で使われる指標
E. 日本の人口の高齢化と少子化
F. 世界の人口
2.2 人口動態統計
A. 出生率と再生産率
B. 死亡率
C. PMI またはPMR(50 歳以上死亡割合)
D. 母子に関する死亡率
E. 日本人の主要死因の推移と国際比較
2.3 生命表
A. 生命関数
B. 平均余命
2.4 傷病統計
A. 疾病分類:国際疾病分類(ICD)
B. 国民生活基礎調査
C. 患者調査
D. その他のおもな傷病統計
2.5 その他の保健統計
2.6 重要な統計指標の最新データ
3. 疫学
3.1 疫学の概念
3.2 疫学指標
A. 疾病頻度
B. 曝露効果の測定
3.3 疫学の方法
A. 記述疫学
B. 生態学的研究(地域間相関研究)
C. 横断研究
D. 症例対照研究
E. コホート研究
F. 介入研究
3.4 バイアスと交絡
A. バイアス
B. 交絡
C. 無作為比較対照試験(RCT)
D. メタアナリシス
3.5 スクリーニングとその適用
A. スクリーニングの有効性
B. 陽性反応的中度,陰性反応的中度
C. 集団への適用条件
3.6 根拠に基づく保健対策
A. エビデンスのレベル
B. 系統的レビューとメタアナリシス
C. 病因疫学と政策疫学
D. ハイリスク戦略とポピュレーション戦略
E. 効能,効果,効率の評価
F. おもな診療ガイドライン
3.7 疫学研究と倫理
A. 疫学研究に関する倫理指針
B. インフォームドコンセント
3.8 安全性の確保
4. 情報の収集と処理
4.1 情報収集の方法
A. データベースの利用法
B. データベースの種類
C. 情報の批判的吟味
4.2 情報マネジメント
A. IT によるプレゼンテーション
B. インターネット,Web,WWW
C. 健康情報管理
D. 個人情報保護
5. 生活習慣(ライフスタイル)の現状と対策
5.1 健康に関連する行動と社会
5.2 身体活動,運動
5.3 喫煙行動
5.4 飲酒行動
5.5 睡眠,休養
5.6 口腔(歯科)保健行動
5.7 ストレス
5.8 その他の疾患に影響する行動特性
6. 主要疾患の疫学
6.1 生活習慣病と成人保健
6.2 主要部位の悪性新生物(がん)
6.3 循環器疾患
A. 高血圧症
B. 心疾患
C. 脳血管疾患
6.4 代謝疾患
A. 肥満症
B. メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)
C. 糖尿病
D. 脂質異常症
6.5 骨・関節疾患
A. 骨粗鬆症
B. 骨軟化症,くる病
6.6 口腔(歯科)疾患
A. う蝕と歯周病
B. 口腔疾患の特徴
6.7 精神疾患,自殺
6.8 感染症
A. 感染症とは
B. 感染症成立の要因
C. 流行の諸相
D. 感染症の最近の動向
E. 新興・再興感染症
F. 感染症対策の現状
G. おもな感染症とその予防
H. 結核
6.9 その他の疾患
A. 肝臓疾患
B. 腎臓疾患
C. 呼吸器疾患
7. 保健行政
7.1 地域保健
A. 一般衛生行政
7.2 母子保健
A. 母子保健対策
B. 母子健康手帳
C. 乳幼児健康診査
D. 育児指導
E. 新生児マス・スクリーニング
F. 健やか親子21
G. 少子化社会の母子保健
7.3 学校保健
A. 学校保健の概要
B. 学校保健従事者
C. 児童・生徒の健康
D. 学校保健対策
7.4 産業保健
A. 作業条件・作業環境と健康
B. 職業と健康障害
C. 労働災害
D. 産業保健従事者
E. 労働安全衛生対策
F. 特殊健康診断
G. 生物学的モニタリング
H. THP(トータル・ヘルスプロモーション・プラン)
7.5 高齢者保健
A. 地域保健・健康増進事業
B. 介護予防・生活支援事業
C. ゴールドプラン21
8. 環境保健
8.1 人間生活と環境
A. 人間と環境の相互作用
B. 環境保全と環境基本法
C. 環境基本計画
D. 環境アセスメント(環境影響評価)
8.2 環境汚染と健康
A. 環境汚染と健康問題の変遷
B. 公害
C. 環境汚染対策
D. 環境汚染の現状
E. 地球環境問題
8.3 環境衛生
A. 気象,気候
B. 空気
C. 圧力
D. 温熱条件
E. 高所環境
F. 無重力環境
G. 上水道と下水道
H. 居住,衣服環境
I. 廃棄物処理
J. 騒音
K. 振動
L. 非電離放射線
M. 電離放射線
N. 鼠族,衛生害虫
9. 社会保障,社会福祉,医療,介護の制度
9.1 社会保障の概念
9.2 医療制度
A. 医療提供施設
B. 保健医療従事者
C. 医療費
D. 医療経済
E. 医薬分業
9.3 社会保険
9.4 介護保険制度と社会福祉制度
A. 介護保険制度
B. 社会福祉制度
C. 保健・医療・福祉・介護従事者の役割と連携
10. 衛生,栄養関係法規
10.1 法規の定義とその種類
10.2 衛生法規
A. 公衆衛生法規
B. 医務衛生法規
C. 薬務衛生法規
10.3 栄養関連法規
A. 健康増進法
B. 栄養士法
C. 調理師法
D. 学校給食法
E. 学校教育法
F. 食品衛生法
11. 国際保健
11.1 国際協力のしくみ
11.2 政府開発援助(ODA)による国際協力
11.3 国際保健にかかわる国連・国際機関
参考書
索引