献立作成の基本と実践

藤原政嘉/河原和枝・編
シリーズ:
栄養科学シリーズNEXTシリーズ

献立作成の基本と実践

発行
2014/03/10
サイズ
A4判
ページ数
151
ISBN
978-4-06-155378-1
定価
2,640円(税込)
在庫
在庫なし

内容紹介

食品構成から献立が立てられるようになる!
個人の栄養指導や給食に必要なライフステージ別、施設別の献立立案から、既存メニューの変更、弁当の商品開発などが習得できる。
管理栄養士・栄養士必須の技術が身につく。


 医学や栄養学の進歩により「ひと」の栄養管理はより複雑,個別化してきた.必要な栄養量についても不足を招かないことを主眼にした「所要量」から生活習慣病の予防や摂り過ぎによる危険も考慮した「食事摂取基準」へと変わり,特に臨床現場では病態別の栄養管理が進歩すると共にチーム医療が重要視されている.
 管理栄養士・栄養士は栄養学を基盤とした「ひと」に対する栄養・食生活のマネージメントを行いQOLの向上に寄与する対人専門職業人である.
 「栄養とは」を省みると「栄養とは,食物を摂取し,消化吸収し,代謝すること」とある.すなわち栄養は食物を摂取する第一段階からスター卜するので食物を摂取しない限り栄養は始まらない.食物は口から取り入れるの通常である.しかし、種々な病態により経口摂取が不可能の場合は,経管による消化器へ直接に栄養素の補給や静脈を使用した栄養素の補給を行うことになる.
 ここで,口から取り入れる栄養素と直接消化管や静脈に入れる栄養素の違いを考える必要がある.大きな違いは「甘味,酸味,塩味,苦味,辛味」の五味や「旨味」などの「美味しさ」にある.経管による経腸栄養に使用する栄養食品(リキッドタイプが多い)も最近,経口で使用されるため味を整えたものが多くなったが,味覚を通常に感じる健常者は決して美味しいとは思わない.
 では,口から取り入れる「栄養素=食べ物」を美味しくするためにはどうすればいいだろう.食べ物は食品をさばき,調整,無毒化し,味をつけ,食べやすくしたもので,そこには美味しさや楽しさ,文化も含んでいる.栄養素の調合を「食べ物」に変える.すなわち食品をさばき調味した料理,料理を一食に組み立てた献立に仕上げる専門職業人が管理栄養士・栄養士である.栄養指導する時でも「栄養素のとり方」を「食材=料理=献立」に変えて指導しているはずである.
 食品・栄養素・食文化の知識を活用し,料理や献立の立て方を知り,自分のスキルとすることが管理栄養士・栄養士へのスタートだと思う.本書はこのような思いで献立の意義や哲学的な要素を含め,実践ですぐに役に立つ教科書(参考書)めざして作成した.管理栄養土・栄養士を目指す学生だけでなく一線で活躍されている管理栄養士・栄養士の皆様にも役立つ一冊だと思われる.
(まえがきより)

【シリーズ総編集】中坊幸弘/山本茂
【実験・実習編担当委員】岡崎眞/片井加奈子/加藤秀夫/桑波田雅士
【執筆者一覧】赤尾正/河原和枝/小谷一子/妹尾良子/藤原政嘉/柵木嘉和/松崎政三/
 百谷由季子/諸岡みどり

目次

0.管理栄養士・栄養士と献立作成
0.1 従来の献立の意義
0.2 管理栄養士・栄養士教育における献立作成の意義

【献立作成の基本編】
1.献立とは
1.1 日本における献立
演習1-1 メニューとレシピ
1.2 献立の考え方
演習1-2 対象者別献立の考え方のまとめ
1.3 献立の役割
1.4 献立の要素
演習1-3 環境と調理
2.献立の立案に必要な料理の基礎知識
2.1 料理の構成要素
演習2-1 献立の基本構成
2.2 各国の代表的な献立の構成
演習2- 2 一汁三菜
2.3 味の基礎
演習2-3 味の混合効果の体験
演習2-4 調味料の塩分濃度
2.4 料理法の基礎
演習2-5 煮物の特徴や注意点
演習2-6 大量調理時の蒸し物
演習2-7 大量調理時の焼き物
演習2-8 冷凍コロッケを揚げる温度(油温)
演習2-9 大量調理時の和え物と酢の物
演習2-10 調味料の重量
3.献立立案までの基礎計画
3.1 対象者の把握から給与栄養目標量の作成
演習3-1 個人における1食あたりの給与栄養目標量
演習3-2 集団における給与栄養目標量①
演習3-3 集団における給与栄養目標量②
3.2 食品群別加重平均栄養成分表の作成
演習3-4 食品分類表
演習3-5 構成比率
演習3-6 加重平均栄養成分表
3.3 食品構成表の作成
演習3-7 食品構成表
4.献立の立案
4.1 献立計画の概要
演習4-1 年間行事食
演習4-2 献立計画
4.2 献立 作成の実際
演習4-3 予定献立表
4.3 献立の評価

【献立作成の実践編・施設別献立作成】
5.学校給食
5.1 学校給食の特徴
演習5-1 市区町村における学校給食
演習5-2 学校給食摂取基準と食事摂取基準
5.2 標準食品構成表
5.3 献立作成の要点
5.4 献立作成管理の流れ
5.5 地産地消食材を取り入れた献立例
演習5-3 特産品と郷土食
5.6 食物アレルギーの対応
演習 5-4アレルギー対応
5.7 中国料理を取り入れた献立例
演習5-5 米飯給食の場合の「おかず」の配食率(換算係数)
演習5-6 地域の特産品を使った献立
6.病院給食
6.1 病院給食の特徴
演習6-1 軟食,流動食
6.2 食品構成作成上のポイント
演習6-2 特別治療食への展開
演習6-3 食品交換
6.3 献立作成
6.4 献立作成時の考え方・各治療食のポイント
演習6-4 常食の献立
演習6-5献立の展開
7.事業所給食
7.1 事業所給食の特徴
7.2 食品構成作成の要点
7.3 食品構成例
7.4 献立作成の要点
7.5 カフェテリア方式社員食堂の1週間の昼食献立例
7.6 弁当給食の献立例
演習7-1 カフェテリア方式の献立
演習7-2 弁当給食の献立
演習7-3 ランチのアピール
演習7-4 献立のチェックと改善
8.介護老人福祉施設
8.1 介護老人福祉施設給食の特徴
演習8-1 標準体重と推定エネルギー必要量
演習8-2 たんぱく質,脂質,炭水化物の算出
8.2 食品構成作成上のポイント
8.3 食品構成表
8.4 献立作成の要点
演習8-3 嚥下調整食の献立
演習8- 4高齢者の特徴を考えた献立
8.5 嚥下困難者用メニューに展開した献立例
8.6 お寿司を取り入れた軟飯を嚥下困難者用にアレンジした献立例
演習8-5 常食1,400kcal献立作成と展開
9.児童福祉施設
9.1 児童福祉施設給食の特徴
9.2 食品構成作成上のポイント
9.3 献立作成の留意点
9.4 3~5歳児の献立例と1~2歳児への展開例
9.5 1歳未満児の献立例
演習9-1 3~5歳児食献立からの展開
演習9-2 7~8か月児の離乳食からの展開
演習9-3 献立のチェックと改善

付録
付図1 食材の切り方(基本)
付録演習-1 食材の切り方
付表1 野菜の旬
付録演習-2 野菜の旬
付表2 魚の旬と適した料理法
付録演習-3 魚の旬
付表3 食品の重量変化率(魚介類・肉類・野菜類・きのこ類)
付表4 献立作成時の注意点およびチェックリスト