臨床栄養学概論

友竹浩之/塚原丘美・編
シリーズ:
栄養科学シリーズNEXTシリーズ

臨床栄養学概論

発行
2016/08/05
サイズ
B5
ページ数
185
ISBN
978-4-06-155388-0
定価
2,860円(税込)
在庫
在庫なし

内容紹介

疾患の原因,症状,食事療法の3つをつなげて考えられるよう工夫した教科書.特別食の献立作成や展開食をスムーズに行える献立例を掲載.食物アレルギーや嚥下困難食など福祉施設での給食も充実.栄養管理プロセスの考え方を導入した.栄養士実力認定試験に対応.

 栄養士・管理栄養士の仕事の中で,給食管理と栄養管理は二本柱といえるでしょう.一方,これらは,毎日の生活においても,食事づくり,健康づくり(病気の予防)に活かすことができます.このうち栄養管理は,個人の栄養状態を把握し,適切な食事を提供したり,食事の摂りかたを助言することであり,実践するには「臨床栄養学」を学ぶ必要があります.
 本書は,臨床栄養学をはじめて学ぶ学生が,病気の原因・症状・食事療法をつなげて考えられる構成にしています.各疾患については,A.どんな病気か,B. どうやって評価するか,C. どれくらいの栄養量が必要か,D. どんな食事かの流れで記述しています.献立例を示すことで具体的な食事をイメージできるようにしました.これは病院,福祉施設などに就職した学生が,特別食の献立作成や調理業務を担当する際に必要となります.この献立例は,食材の選択や調理までイメージできるようになっています.
 先日,卒業して間もない学生が遊びにきて,「特別食の調理をまかされるようになりました」と報告してくれました.医療・福祉施設では,給食管理業務の中にも,「臨床調理」という内容が含まれます.
 本書で学んだ学生が,臨床栄養学の理解を深め,医療・福祉の現場や日常生活で,給食管理や栄養管理を実践してくれることを願っています.(まえがきより)

【シリーズ総編集】木戸康博/宮本賢一 

【シリーズ編集委員】河田光博/桑波田雅士/郡俊之/塚原丘美/渡邊浩幸 

【執筆者一覧】石橋智奈美/岩田晴美/小島真由美/佐藤昌利/庄司吏香/塚原丘美/徳永佐枝子/友竹 浩之/橋本賢/山田紀子

目次

1.臨床栄養の概念
1.1 意義と目的
A.臨床栄養の意義と目的
B.傷病者や要介護者への栄養ケア・マネジメントと栄養評価プロセス
C.内部環境の恒常性と栄養支援
D.栄養状態の改善
E.ノーマリゼーション
1.2 医療制度と栄養管理
A.医療保険制度
B.介護保険制度
C.入院時食事療養制度
1.3 医療と臨床栄養
A.医療における食事管理の意義
B.医療における栄養士の役割と職業倫理
C.クリニカルパスと栄養ケア
D.チーム医療
E.リスクマネジメント
F.傷病者の権利
G.インフォームドコンセント
1.4 福祉・介護と臨床栄養
A.福祉・介護における食事管理の意義
B.福祉・介護における栄養士の役割と職業倫理
C.チームにおける栄養ケア
D.在宅ケア

2.栄養・食事療法,栄養補給法
2.1 栄養・食事療法と栄養補給法
A.栄養・食事療法と栄養補給
B.栄養・食事療法と栄養補給の選択
C.治療用特殊食品などの活用
2.2 経口栄養補給法
A.目的
B.食種:一般治療食,特別治療食
C.一般治療食:常食,軟食,非固形食,嚥下食
D.特別治療食:疾病別分類と栄養成分別分類
E.食品選択と献立作成:常食,軟食,流動食の献立
2.3 経腸栄養補給法
A.目的
B.適応疾患
C.投与ルート(経管栄養,胃瘻など)
D.経腸栄養剤の種類と成分
E.経腸栄養剤の特性と使用時の注意点
F.栄養補給に必要な用具・機械
G.経腸栄養の合併症と対応
H.在宅経腸栄養管理
2.4 静脈栄養補給法
A.目的
B.適応疾患
C.中心静脈栄養と末梢静脈栄養
D.静脈栄養の合併症と対応(感染など)

【疾患・病態と栄養・食事療法編】
各疾患項目は下記の基本項目による
A.どんな病気か
B.どうやって評価するのか(栄養アセスメント)
C.どれくらいの栄養量が必要か(栄養素の付加や制限)
D.どんな食事か(食事療法の内容)

3.栄養,代謝,内分泌系疾患
3.1 栄養,代謝,内分泌系疾患の成因と症状
A.代謝性疾患の成因と症状
B.内分泌疾患の成因と症状
3.2 るい痩(やせ)
3.3 肥満
3.4 糖尿病
3.5 脂質異常症
3.6 痛風,高尿酸血症
3.7 甲状腺機能亢進症
3.8 甲状腺機能低下症

4.消化器系疾患
4.1 消化器系疾患の成因と症状
A.消化器系疾患の栄養管理
B.消化管と栄養素の消化・吸収
4.2 消化性疾患
4.3 下痢,便秘
4.3.1 下痢
4.3.2 便秘
4.4 過敏性腸症候群
4.5 炎症性腸疾患
4.5.1 クローン病
4.5.2 潰瘍性大腸炎
4.6 肝炎,脂肪肝,肝硬変
4.6.1 肝炎
4.6.2 脂肪肝
4.6.3 肝硬変
4.7 胆石症,胆嚢炎
4.8 膵炎

5.循環器系疾患
5.1 心臓の役割と血圧
A.心臓の生理学機能
B.血圧の調整機能
5.2 高血圧症
5.3 動脈硬化症
5.4 虚血性疾患(狭心症,心筋梗塞)
5.5 心不全

6.腎疾患
6.1 腎臓の役割と尿の生成
6.2 糸球体腎炎(腎炎症候群)
6.3 腎不全
6.4 慢性腎臓病(CKD)
6.5 ネフローゼ症候群
6.6 糖尿病腎症
6.7 血液透析・腹膜透析

7.血液系疾患
7.1 血液系疾患の成因と症状
7.2 貧血
7.3 出血性疾患

8.呼吸器系疾患
8.1 呼吸器系疾患の成因と症状
8.2 慢性閉塞性肺疾患
8.3 気管支喘息
8.4 肺炎

9.筋・骨格系疾患
9.1 筋・骨格系疾患の成因と症状
9.2 骨粗鬆症
9.3 骨軟化症,くる病
9.4 サルコペニア,廃用性筋萎縮

10.免疫・アレルギー疾患
10.1 免疫・アレルギー疾患の成因と症状
10.2 食物アレルギー

11.摂食機能低下
11.1 摂食機能低下の成因
A.摂食機能低下
B.嚥下のメカニズム
11.2 嚥下障害

付録1 血液生化学検査・尿検査(栄養素代謝系)
付録2 日本人の食事摂取基準(2015年版)