食べ物と健康,食品と衛生 食品衛生学 第4版
- タイトル読み
- ショクヒンエイセイガクダイヨンハン
- 著者ほか
- 植木幸英/野村秀一・編
- 著者ほか読み
- ウエキユキヒデ/ノムラシュウイチ
- シリーズ:
- 栄養科学シリーズNEXTシリーズ
- 発行
- 2016/09/06
- サイズ
- B5
- ページ数
- 192
- ISBN
- 978-4-06-155389-7
- 定価
- 3,080円(税込)
- 在庫
- 在庫あり
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内容紹介
これまでの学問的基礎内容の充実に加え,学校給食や福祉施設給食,配食サービス,食品企業での衛生管理の実際も見えるよう加筆して改訂.フルカラーでわかりやすい.栄養士実力認定試験,管理栄養士国家試験ガイドライン,日本栄養改善学会提案のモデルコアカリキュラム準拠.
栄養科学シリーズNEXT『食品衛生学』は1999年に初版が,2004年に改訂第2版が,2011年に第3版が刊行され,これまでに多くの管理栄養士・栄養士,食品衛生監視員,食品衛生管理者を養成する大学,短期大学や専門学校において,教科書としてご採用いただいてきたことに厚くお礼申し上げる.
第3版刊行後,5年が経過し,この間,食の安全性の問題としては,東日本大震災における原子力発電所の原子炉の破壊で大量に放出された放射線物質による農畜水産物の汚染,ヒラメ,馬肉摂取による新たな寄生虫による食中毒の発生,生食用牛肉・レバー摂取による腸管出血性大腸菌による集団食中毒の発生,大手食品企業の廃棄食品の処理業者による横流し事件など,食の安全・安心を揺るがす問題が起こった.
また,食の安全性確保に向けて,農畜水産物の汚染問題に対応して「食品中の放射性物質に係る基準」の設定,生食用牛肉・レバー摂取による食中毒に対応して「牛の生食用食肉の規格基準」と「表示基準」が設定,ヒラメ・馬肉摂取による寄生虫食中毒に対応して,これらの寄生虫が新たに食中毒の病因物質として指定された.さらに2015年6月には,食品を摂取する際の安全性および一般消費者の自主的かつ合理的な食品選択の機会を確保するため,食品衛生法,JAS法,健康増進法の食品の表示に関する規定を統合して食品の表示に関する包括的かつ一元的な制度として「食品表示法」が制定された.
一方,2015年2月には管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)が改定され,2015年9月には管理栄養士養成課程におけるモデルコアカリキュラムが提案された.
第4版では,上述のような食の安全性の問題や食品保健行政の変化に対応するために,また,管理栄養士国家試験出題基準に含まれる項目を網羅するために,食品衛生に関連する最新の知見や動向も盛り込みながら,随所に加筆修正を行った.したがって,第4版は,栄養学分野だけでなく,食の安全性を取り扱う多くの分野における教科書あるいは参考書として活用していただける,より充実した内容になった.また,食品衛生に興味をもつ一般消費者や食品製造に携わる方々にとっても,より理解しやすい参考書としてご利用いただけるものと考える.(まえがきより)
【シリーズ総編集】木戸康博/宮本賢一
【シリーズ編集委員】河田光博/桑波田雅士/郡俊之/塚原丘美/渡邊浩幸
【執筆者一覧】植木幸英/大迫泰広/岡 真優子/岡崎貴世/岡崎 眞/川合清洋/川添禎浩/川元達彦/小木曽加奈/小松﨑典子/田中紀子/中山和子/野村秀一/宮田富弘
目次
1. 食品衛生学とその目的
1.1 食品を取り巻く環境:食品の安全性
1.2 食品衛生の目的
1.3 わが国の食品衛生の現状とこれからの課題
2. 微生物と食品衛生とのかかわり
2.1 微生物とは
A. 一般細菌数(生菌数)
B. 糞便汚染の指標菌
2.2 微生物による食品の品質低下
A. 食品の変質
B. タンパク質性食品の腐敗の評価と鮮度指標
C. 微生物に起因する食品の変質を促進する因子
2.3 微生物に起因する食品の変質の防止法
A. 冷蔵法および冷凍法
B. 脱水法
C. 塩蔵法および砂糖漬け法
D. 加熱法
E. 電磁波による殺菌法
F. くん(燻)煙法
G. 真空包装法
H. 食品添加物
2.4 消費期限と賞味期限
A. 消費期限
B. 賞味期限
3. 食品成分の化学的変質
3.1 食品成分の酸化
A. 油脂の化学的変質(変敗)
B. 油脂の酸化の指標
C. 油脂の変敗防止
3.2 クロロフィルの化学的変化
3.3 硝酸態窒素とN-ニトロソアミン類
3.4 トランス型不飽和脂肪酸(トランス脂肪酸)
3.5 加熱調理によって生成する発がん性物質
A. 食品の加熱調理によって生成する発がん性物質
B. アクリルアミド
4. 食中毒
4.1 食中毒とは
4.2 食中毒の分類
A. 食中毒の分類法
B. 感染症としての食中毒
C. 食中毒の届出と統計
4.3 食中毒の発生状況
A. 2015(平成27)年の状況
B. 食中毒統計の年次推移
C. 月別統計の年次推移
4.4 細菌性食中毒
A. 感染型食中毒
a. サルモネラ
b. カンピロバクター・ジェジュニ/コリ
c. 下痢原性大腸菌
d. その他の感染型食中毒菌
B. 毒素型食中毒
a. ボツリヌス菌
b. 黄色ブドウ球菌
C. 生体内毒素型食中毒(中間型)
a. 生体内毒素型食中毒の特徴
b. 芽胞を形成する細菌
c. 芽胞形成菌による食中毒発生のメカニズムとその予防方法
d. 腸炎ビブリオ
e. 腸炎ビブリオおよびその他のビブリオ
f. 生体内毒素型の大腸菌
D. その他の病原菌による食中毒
a. 3類感染症起因菌による食中毒
b. 人獣共通感染症としての食中毒
E. アレルギー様食中毒
F. 細菌性食中毒の予防法
4.5 ウイルス性食中毒
A. ノロウイルス
B. A 型肝炎ウイルス,E 型肝炎ウイルス
4.6 異常プリオン
4.7 寄生虫(原虫)による食中毒
A. 赤痢アメーバ
B. クリプトスポリジウム
C. ジアルジア(ランブル鞭毛虫)
D. サイクロスポラ
E. トキソプラズマ
F. クドアおよびフェイヤー住肉胞子虫による食中毒
4.8 寄生虫(蠕虫類)による食中毒
A. アニサキス症
B. 旋尾線虫症
C. 大複殖門条虫症
D. 顎口虫症
E. 横川吸虫症
F. 旋毛虫症(トリヒナ症)
G. 肺吸虫症
H. マンソン裂頭条虫症
I. 有鉤条虫症
J. 回虫症
K. 鉤虫症
4.9 自然毒食中毒
A. 動物性自然毒食中毒
B. 植物性自然毒食中毒
4.10 化学物質による食中毒
A. 有害物質を故意に使用する場合
B. 食品の製造工程で混入する場合
C. 過失による誤飲,誤食
D. 器具・容器・包装からの混入
4.11 マスターテーブル法
4.12 特定給食施設における食中毒予防対策とHACCP
A. 特定給食施設での食中毒予防
B. 大量調理施設におけるHACCP
C. HACCP 方式の利点
D. HACCP 導入の手順
5. 有害物質による食品汚染
5.1 マイコトキシン
A. アスペルギルス属が産生する毒素
B. ペニシリウム属が産生する毒素
C. フザリウム属が産生する毒素
D. 麦角菌が産生する毒素
5.2 農薬
A. 農薬の分類
B. 残留農薬基準
C. 収穫後使用農薬(ポストハーベスト農薬)
5.3 低沸点有機ハロゲン化合物
A. トリハロメタン
B. 地下水汚染物質
5.4 抗生物質と合成抗菌剤
5.5 放射性物質
A. 飲食物汚染に関係する放射性核種
B. おもな放射能汚染事件と汚染食品
5.6 ダイオキシン
5.7 ポリ塩化ビフェニル
5.8 有害金属とその化合物
A. ヒ素(As)
B. カドミウム(Cd)
C. 水銀(Hg)
D. スズ(Sn)
E. 鉛(Pb)
5.9 内分泌かく乱化学物質
5.10 異物の混入
6. 食品添加物
6.1 食品添加物とは
A. 食品添加物の歴史と使用目的
B. 食品添加物の指定基準
C. 食品添加物の安全性
D. 食品添加物の成分規格,使用基準および表示基準
E. 食品添加物による危害の防止と対策
6.2 おもな食品添加物
A. 栄養強化剤
B. 甘味料
C. 増粘剤,安定剤,ゲル化剤(または糊料)
D. 殺菌料
E. 酸化防止剤
F. 着色料
G. 発色剤
H. 漂白剤
I. 保存料
J. 防カビ剤(防ばい剤)
K. 乳化剤
L. 調味料
M. 酸味料
N. 苦味料
O. 品質保持剤
P. 結着剤
Q. 小麦粉処理剤
R. その他の食品添加物
7. 食品の器具と容器包装
7.1 器具・容器包装とは
A. 金属製品
B. セラミック製品
C. ゴム製品
D. 木・竹製品
E. 紙・セロファン製品
F. プラスチック製品
7.2 容器包装の表示
7.3 洗浄と殺菌
A. 洗浄
B. 殺菌
8. 食品の安全性
8.1 輸入食品の安全性
A. 輸入食品の食品衛生法違反事例
B. 輸入食品の安全性確保対策
8.2 遺伝子組換え食品の安全性
A. 遺伝子組換え技術
B. 遺伝子組換え農産物
C. 遺伝子組換え農産物の食品としての安全性評価
D. 遺伝子組換え食品の表示
8.3 放射線照射食品の安全性
9. 食品衛生関係法規と食品保健行政
9.1 食品衛生関係法規
A. 食品衛生法
B. 食品安全基本法
C. 乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)
9.2 食品保健行政
9.3 食品安全のリスクアナリシス(リスク分析)
付録1 微生物学概論
1. ヒトと微生物
2. 微生物の種類と性状
付録2 法規
食品衛生法
食品衛生法施行令
食品安全基本法
索引