新・栄養学総論

友竹浩之/桑波田雅士・編
シリーズ:
栄養科学シリーズNEXTシリーズ

新・栄養学総論

発行
2016/11/07
サイズ
B5
ページ数
168
ISBN
978-4-06-155390-3
定価
2,860円(税込)
在庫
在庫なし

内容紹介

栄養学とは何だろうか.その基本となる栄養素の消化,吸収,代謝を,常に食べ物との関連でわかりやすく解説したテキスト.化学が苦手な学生でも具体例や図解から理解が進む.栄養士実力認定試験にも対応.


 「高校の授業で栄養のことを勉強して,興味をもったので,栄養士になりたいと思いました.」これは,高校生が栄養士を目指すようになったきっかけとして比較的多いものかもしれません.しかしながら,入学してから使う栄養学のテキストには,専門的な言葉が多く並び,「思っていたより難しい」と感じている学生も少なくないはずです.
 たとえば,栄養学を学びはじめて間もない学生にとって,「代謝」という言葉はすぐには理解しにくいようです.「代謝」とは「体内でさまざまな物質を変化させる化学反応」と説明できますが,それぞれの栄養素が全体としてどのような特徴をもち,個々にどのように「消化」「吸収」「代謝」されていくのかを確認していくことが大事だと思います.
 本書は,食品と栄養素を切り離さない内容とし,栄養士を目指す学生が,栄養学への興味をさらに深められる構成にしています.各栄養素の説明の後には,1日に摂取すべき量と多く含む食品(常用量あたり,100gあたり)を記載しています.
コンビニエンスストアやスーパーでは,いろいろな種類の調理済み食品が手に入るようになりました.忙しくて生鮮食品を調理できない生活の中でも選択の幅が広がっています.また,食品表示法の施行により,栄養素の表示をより多く目にすることになりました.本書で学んだ学生が,栄養素とそのはたらきについて正しい知識を身につけ,食生活改善のための即戦力として活躍してくれることを願っています.(まえがきより)

目次

1. 栄養の概念
1.1 栄養と健康,疾患
A.栄養とは
B.食物摂取と健康の維持・増進(栄養素の欠乏症・過剰症)
C.栄養学の歴史
1.2 摂取した栄養素の体内でのはたらき
A.栄養素の種類と生体内での役割
B.栄養素の流れを理解する
2. 消化と吸収
2.1 消化・吸収が行われる器官とはたらき
A.消化管
B.付属器官(消化腺)
2.2 栄養素の消化
A.消化液と栄養素
B.糖質の消化
C.タンパク質の消化
D.脂質の消化
2.3 栄養素の吸収とそのしくみ
A.栄養素の吸収部位
B.門脈系,リンパ系
C.受動輸送と能動輸送
D.単糖の吸収
E.アミノ酸の吸収
F.脂質の吸収
G.ビタミンの吸収
H.ミネラルの吸収
3. 炭水化物の栄養
3.1 糖質の種類と構造
A.多糖類
B.二糖類と少糖類
C.単糖類
3.2 糖質の体内代謝
A.糖質のはたらき
B.糖質とエネルギー代謝
C.糖質エネルギー比率(炭水化物%エネルギー)
D.糖質が不足すると
E.食べ過ぎると血糖から脂肪がつくられる
3.3 他の栄養素と糖質の関係
A.タンパク質節約作用
B.糖質代謝で消費の多いビタミンB1
3.4 糖質を多く含む食品
A.デンプンの多い食品
B.食事摂取基準との比較
3.5 食物繊維(難消化性糖質)の種類とはたらき
A.不溶性食物繊維と水溶性食物繊維
B.オリゴ糖
C.食物繊維のはたらき
D.腸内細菌
3.6 食物繊維を多く含む食品
A.食物繊維を多く含む食品
B.食事摂取基準との比較
4. タンパク質の栄養
4.1 タンパク質の構造と体内代謝
A.タンパク質の構造
B.タンパク質の役割
C.体タンパク質の作られ方
D.窒素出納
E.タンパク質が不足すると
F.タンパク質を過剰に摂取すると
4.2 アミノ酸の構造と種類
A.アミノ酸の基本構造
B.アミノ酸の種類
C.必須アミノ酸(不可欠アミノ酸)とは
D.アミノ酸の補足効果
E.アミノ酸の廃棄
4.3 タンパク質の栄養価
A.栄養価の評価方法
B.栄養価の高い食品
4.4 タンパク質を多く含む食品
A.1食あたりの常用量
B.食事摂取基準(18~ 29歳女性)との比較
5. 脂質の栄養
5.1 脂質とは
A.脂質が不足すると
B.脂質を過剰に摂取すると
C.生活習慣病とのかかわり
5.2 トリアシルグリセロールの構造と体内代謝
A.トリアシルグリセロールの基本構造
B.トリアシルグリセロールの吸収と合成
C.エネルギーの貯蔵と利用
5.3 脂肪酸の構造と種類
A.脂肪酸の構造
B.脂肪酸の種類
C.脂肪酸の分解
D.脂肪酸の合成
E.脂肪エネルギー比率
5.4 コレステロールの特徴
A.体内でのはたらき
B.コレステロールの合成
C.コレステロールと動脈硬化
D.胆汁酸との関係
5.5 脂質を多く含む食品
A.1食あたりの常用量
B.食事摂取基準(18~ 29歳女性)
6. ビタミンの栄養
6.1 ビタミンの分類と栄養学的機能
A.ビタミンとは
B.ビタミンの種類
6.2 脂溶性ビタミンのはたらきと欠乏症および過剰症
A.ビタミンA
B.ビタミンD
C.ビタミンE
D.ビタミンK
6.3 水溶性ビタミンのはたらきと欠乏症および過剰症
A.ビタミンB 群
B.ビタミンC
7. ミネラル(無機質)の栄養
7.1 ミネラルの分類と栄養学的機能
A.ミネラルとは
B.ミネラルの種類
7.2 多量ミネラルのはたらき
A.ナトリウム
B.カリウム
C.カルシウム
D.マグネシウム
E.リン
7.3 微量ミネラルのはたらき
A.鉄
B.銅
C.亜鉛
D.マンガン
E.ヨウ素
F.クロム
G.セレン
H.モリブデン
8. 水のはたらき
8.1 水の出納
A.水の出納とホルモンのはたらき
B.体内から出る水
8.2 水のはたらき
A.体内の水の量
B.水の欠乏と過剰
9. エネルギー代謝
9.1 エネルギー代謝の概念
A.生体におけるエネルギーとは
B.エネルギーの単位
C.食物のもつエネルギーと生体利用エネルギー
9.2 エネルギー消費量
A.基礎代謝量とは
B.安静時代謝量
C.食事誘発性体熱産生
D.活動時代謝量
E.エネルギー必要量
9.3 エネルギー代謝の測定法
A.直接法と間接法
B.呼気ガス分析
付録 日本人の食事摂取基準(2015 年版)
参考書