コメディカルのための社会福祉概論

著者・編者
発行
サイズ
B5判
ページ数
174
ISBN
978-4-06-156301-8
価格
2,640 (税込)
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コメディカルのための社会福祉概論

内容紹介

人が人を助けるという行為は有史以来,存在してきていると思います.しかしそれが社会の制度として位置づけられたのは,ほんの数世紀前からです.社会福祉の発展過程から示すと,その行為を,「施与」「慈善」「博愛」「救済」「社会事業」「社会福祉事業」「社会福祉」という用語で説明することができます.しかし,社会福祉をどのような用語で説明しても,また時代的背景の相違はあるにしても,社会福祉の課題は社会生活を営むうえで困難な問題を抱える人々をどのように支えていくかにあります.
 わが国の社会福祉は明治期以降に取り組まれるようになりました.そして,本格的な取組みは第二次世界大戦後からです.社会福祉関係法の制定,その充実の努力が高度経済成長と軌跡を同じくしてなされてきました.しかし,1980 年代以降は社会福祉の潮流は在宅福祉へと転換するようになり,20 世紀末以降は社会福祉のパラダイム(基本的枠組み)の転換が主張されるようになりました.この理由(背景)は,21 世紀は減速経済に基づく社会システムを形成しなければならなくなっていることにあります.もっとわかりやすく言いかえれば,20 世紀は成長の理論によって社会システムを考えればよかったのですが,21 世紀は少子高齢社会を前提とする社会システムを考えなければならなくなっています.就労形態ひとつを考えても,非正規雇用が多くなっていますし,定年も60 歳ではなく,延長を考えなければならなくなっています.そして,老後の生活期間は長くなり,20 年間の退職後の生活は珍しいものではありません.これらは従来の常識を大きく超えていますし,制度が前提としてきている枠組みを大きく超えています.
 医療施設や社会福祉施設の現場に眼をやれば,医療従事者の方々は,日々の業務を通じて患者やその家族などからさまざまな相談を受けることも多いと思います.そのような際,対人援助の基本姿勢を保持したり,介護保険制度や生活保護制度,障がい(害)者に関する各種制度,医療保険などの制度を説明できるなど,社会福祉を学ぶことには大きな意義があります.また,社会福祉の価値や倫理を学ぶことは,対人援助職に大切な視点を与えてくれます.また,近年では社会福祉士,精神保健福祉士,介護福祉士などの福祉専門職と各種の保健医療従事者が協働するチームアプローチが欠かせなくなっています.
 そこで,本書は,(准)看護師,保健師,助産師,理学療法士,作業療法士,管理栄養士・栄養士,言語聴覚士,薬剤師,臨床検査技師,臨床工学技士,診療放射線技師,義肢装具士,救急救命士,保育士などを目指す学生の皆さんに向けた社会福祉の基本を学ぶための教科書として作成しました.
(まえがきより)

【執筆者一覧】荒木剛/今村浩司/片岡靖子/鬼﨑信好/永田千鶴/畑香理/古野みはる/本郷秀和/松岡佐智/村山浩一郎/渡邊暁