本書は,19世紀のドイツの数学者C・G・J・ヤコビの名著Fundamenta Nova Theoriae Functionum Ellipticarum(『楕円関数論の新しい基礎』)を,ラテン語原典から世界で初めて翻訳したものである.
本書で詳述されるヤコビの論考は,アイゼンシュタイン,クロネッカー,ヴァイエルシュトラス,リーマンなど,後代の数学者たちに絶大な影響を及ぼし,現代の楕円関数論のためのまさしく「新しい基礎」を築いた.われわれは本書を通じて,2重周期性やモジュラー方程式,テータ関数などの重要な諸概念の誕生するさまを目の当たりにし,それらの描き出す美しい有機的統一性を学ぶことになる.
緒言
訳出にあたって
楕円関数の変換
楕円関数の展開の理論
訳者あとがき
参考文献
索引