Experimental Methods in Organic Fluorine Chemistry

＜英文書＞
フッ素を有する化合物は広範な分野で注目を浴びており、最近の総説や成書にこれらの特色は比較的詳しく紹介されているが、興味をもった読者がすぐにトレースするのに必要な実験方法や、使用した化合物の合成方法の記載などは含まれていないのが一般的である。そのうえ、フッ素化合物は対応する非フッ素化体とは反応性が大きく変化している場合も多いため、望む化合物を必ずしも容易に合成できない事態に少なからず遭遇してしまう。本書は、約300種類に及ぶさまざまな構造のフッ素化合物を既報の論文から選択し、そこに記載されている実験方法や機器分析データを抽出するとともに、これらをフッ素原子数、次いで反応種類別に整理・分類したものである。各項目で使用される出発物質の大半は市販品で、しかも特殊な薬品や装置を必要とする実験はすべて除外してあり、一般的合成が行える実験室ならばどこでも実行が可能である。本書は単純なフッ素の導入法のみならず、最近需要の高い、立体選択的な合成反応や酵素類を活用した生物化学的手法までの広い領域を網羅し、さらに巻末には原料の入手先や、反応別・分子式別・使用試薬別の3種類のインデックスも完備した。これまでにフッ素化合物合成で苦労した、もしくはこれからそのような化合物を合成しようとしている有機化学・薬学・材料化学分野の研究者・技術者・大学院生にとって非常に有益な本となろう。海外提携先：Gordon and Breach